曖昧な間仕切り
2023.03.27
そろそろ本でもゆっくり読もうかと思えるようになった昨年秋、急に気付いた。
あれっ、私の居場所が無いかも…
家の中は別段何もかわっていないのだけれど、どこに座って本を読んだらいいのか、えーっ、どこ?と、決して広くない家の中で迷子になりました。
普段あまり使っていない部屋に閉じこもるのは何だか全く気が進まない、ん~。
…と、リビングの端に(畳一枚分よりは少し広いが)小さなスペースを発見!ラグマットを敷いて、座り心地の良い椅子とテーブルみたいな古い棚とランプを置いて、4枚の布を天井のレールに吊って、シャーっと閉めたら私の居場所になりました。(AIC20周年のテーマ「小さく暮らす」の研究発表イベントで、YUKIさん担当だった「大人の隠れ家」、まさにそれです)
夜、その中で本を読んでると……あちらから、スポーツ中継しているTVに向かって、わ~とか、ゔ~とか言ってる声がする。犬のコロは、おもちゃのボールをピッピピッピとしつこく鳴らしている。猫のタマは、布の隙間から音もなく入って来て、私の顔を覗いて、ふんっ、と言って音もなく出ていく。
音も灯りも風もすべて通してしまう透け感のある麻の布は、間仕切りと呼べるかどうかはわからないが、フワフワと揺れる布のお蔭で、密閉されていない安心感があり、気配を感じながら「ひとり」になれるし、集中しながら自由でいられる。
と言う訳で、その中に潜んでいる時は、とりあえず機嫌よく暮らしてます。
松橋 道子