いろんなものが値上がりしている昨今ですが、特に食料品は日々のことなので切実です。ある雑誌編集者がパンには、いつもこだわりのバターがあってそれを使っていたのですが、スーパーで目にしたそのバターの高騰に、ついマーガリンを購入してしまう。ところが使ってみたところ、その塗りやすさにすごく感動したというのです。それくらいバターの塗りづらさを感じて暮らしていたのでしょう。

私の場合は、その日の気分でオリーブオイルか普通のバターを使っていますが、オリーブオイルはパンを焼く前にかけ、バターは焼いた後に塗ります。たしかにバターの時は私も小さなストレスはありましたが、最近、小さくカットしてあったバターを切り目を入れたパンの上にポンとのせて焼いたところ、バターが染みた部分が香ばしく焼けて、それはそれは美味しかったのです。以来、バターをポン式で焼いているのです。

先日、東京から２０代の青年が４日間わが家に滞在していました。わが家に来るのは２度目で、年齢差を忘れ交友を結んでいますが、今回は帰る日の朝に「パン何か焼き方があるのですか？」はじめは質問の意味が掴めづにいたのですが、次に「バターが染みてとても美味しいので」　わぁ～違いが分かる！

バターを塗る小さなストレスがなくなったことからはじまって、青年がこんな細やかな味の違いを分ってくれたことに妙に嬉しくなって急に別れが惜しくなってしまいました。

石戸谷