日々の雑事など ぶっ飛ばして、毎日〔山〕へ向かえたらそれはそれは最高なのだが、なかなかそうもいかず、まして冬は叶わない。そんな時は 山の近くの山荘へ行く。それだけでも楽しいし、心も落ち着き健やかでいられる。ほぼほぼ空想の時間を過ごせる。何もしない。

『 カムイエクウチカウシ 』 舌を噛みそうな呪文のような響きだ。熊も転げ落ちるという意味を持つアイヌ語からくる山の名前だ。日高山脈中央の奥深い所に鎮座する。記憶に残る厳しくも計画通り登攀に成功した山。時にその楽しさを思い出しニヤ着くことがある。楽しい事を思い出してニヤニヤする事は誰にでもありそうな事だが、、、。

山へ向かえない時。山荘へ行けない時。

運転し山へ向かう心持。一歩一歩登っている。その時間をすごしている自分を想像し空想する。子供みたいに。自分の世界へ。

サア～。山頭火でも開くとするか！。誰も邪魔をしてはならぬ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　川口　實