密かな反省
2011.07.17
臨時の始発便八甲田ロープウエイに飛び乗り一気に高原へ。高山植物群を通過し、赤倉、井戸岳に渡り八甲田大岳に至る。久々の山行に喘ぎながらも我が足はその記憶を取り戻す。北海道の山から北アルプスまで、こんな風に山に向かってそろそろ20年近くになろうか。いつ来ても、どんな山に出会っても、雄大な自然は、登山者の日々の雑念や、つまらない諸事を忘れさせてくれる。大岳で大休止、絶景を堪能し、1/3の体力と集中力を使って酸ケ湯へ向かって下山を始める。仙人岱で清水をいただき小休止した後、また酸ケ湯を目指す。この辺りから、頭の中を何かがかすめ始める。
外壁サイデイングのパターンとカラー。 ん~。 ん~。 『新建築』に載せる訳でもないから、ま~、いいか。 「おばあ~ちゃまのお好きな色で。・・・・・・。」 明るく、N-87~90に近いくらいがホントはいい感じなんだが・・・。おじいちゃんから おばあ~ちゃまへのプレゼントだし・・・・。 ね・・・。 現場でサイデイングの張り込み作業が進むにつれて、けっして口に出して言ってはいけない私の反省は最高潮に達する。「少々失敗かもしれない。」 しかも、御近所の新築のお宅も、似たようなパターンとカラーの外壁を張り出したではないか・・・。
「おばあ~ちゃまのお好きないい色のおうちができましたね~。」
酸ケ湯まではもう40~50分だろうか。集中力を保ちながら一歩一歩。鳥達がさえずり「頑張れ」と応援してくれる。途中火山性ガスのある部分も通過しないといけない。登山口を目指す。あと15分くらいだろう、という辺りから国道103号線を走る車の音が聞こえはじめる。少しづつ日常へ戻って行く。帰りは何処の温泉へ寄ろうか。 ひとり占めした絶景を思い出し山の神様に感謝しながら湯につかる。密かな思いと一緒に。
八戸ブロック 川口 實