昭和と農家とインテリア
2025.01.08
壁に孫の写真を貼るだけでは済まない。
気に入った絵入りカレンダーは何年前のものだ。
米俵取引金額年表なる額縁や、押しの力士の新聞切り抜き。たまに増えすぎては差し替えをしていた。津軽地方の茅葺屋根の実家の壁はとても賑やかであった。近くの親戚や友達の家もおおよそ同じ傾向だったのはなぜだろう。しかし床のイメージがあまり残っていない。おそらくとても安物であろうビニールのござ調のものが敷かれてあった。それは古くなっても剥がさない。重ねて敷く。もう幾重なのかは私には分からない。多分、父にも分からない。恐ろしく長い画鋲で止めている。ネコが兄弟姉妹で走り回るのでとても早く傷んだはずだ。冬はカーペットも敷くが…それはさすがに剥がす。私は実家の殆どの部屋の床の真の姿を見たことがないのだ。畳敷きだったのか板の間だったのか。最初からビニールのはずはあるまい。その床も今はもう抜けかけていて、空き家の劣化の速さにおどろかさる。
師走の商業施設の現場から相談があった。
床塩ビタイルを剥がすべきか、重ねて貼るべきか。かなりの面積の夜間作業。私は「予算面でも時間面でも重ねて貼った方がいいですよ、大丈夫です!」と伝える。見立てでは既に3枚重ねられている。
はて何枚まで。
佐藤幸喜